外観検査における検査方法・検査基準について

カテゴリ:基礎知識

外観検査における検査方法・検査基準について

製品や部品の品質を維持・保証するために、製造の現場では様々な検査が行われます。中でも、製造品の表面についた、傷・汚れ・変形・バリ・欠け・色ムラなど、不良の有無のチェックを行う「外観検査」は代表的な検査です。

そして、外観検査の実施方法にも種類があり、各メリット・デメリットが存在するため、検査目的に合わせた使い分けが重要です。また、検査基準もそれぞれに応じて存在します。

今回は、外観検査における検査方法の種類とそれぞれの検査基準についてご紹介します。

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外観検査とは

外観検査とは

外観検査(visual inspection)とは、製品や部品の品質維持・保証を目的に、製造品の外観をチェックする検査です。主に製品や部品の表面についた、傷・汚れ・変形・バリ・欠け・色ムラといった不良を確認し、良品・不良品判定を行います。

外観検査は人間の目視による「目視検査」が主流ですが、昨今はカメラで撮影した静止画(画像)や動画データを分析した、一部または全ての検査の自動化が進められています。

外観検査の例

  • 金属や樹脂製品に付着した傷、汚れの検査
  • 金属や樹脂製品の成型時に発生する欠け、バリの欠陥検査
  • 食品やパッケージに付着した汚れや毛髪などの検査
  • 布類に付着した汚れの検査
  • 電気系統の表示(点灯)を確認する点灯検査
  • 塗装面の色・ツヤを確認する変色検査 など

外観検査の検査方法

外観検査の検査方法

外観検査の検査方法には、検査の範囲、実施タイミング、実施者など、それぞれ異なる方法があります。

ここでは、各方法の概要とメリット・デメリットを解説します。

全数検査

全数検査とは、その名の通り、製造品やワーク全てに対して検査を行う方法です。全数検査のメリットは、全ての製造品やワークに対して検査を行うため、高い品質が保証・維持できること。

検査基準としては最も厳しく、品質保証の観点からも不良品流出のリスクが低減できるため、顧客の信頼も高まります。特に人命にかかわるような高い安全性が求められる製品では、欠かせない検査と言えるでしょう。

反対に、全数検査のデメリットは、検査に時間やコストがかかることです。そのため、製造品一個あたりの値段が安価なものや、製造量の多いものの検査には向きません。また、表面の傷が問題となるような製品や部品において、接触式の測定機器を用いての全数検査も、かえって製品の品質を下げる可能性があるので避けた方が良いでしょう。

抜取検査

抜取検査とは、製造された製品の中からいくつかサンプルを抜き取り、そのサンプルのみを検査する方法です。抜取検査のメリットは、全数検査と比べて時間やコストがかからないこと。

反対に抜取検査のデメリットは、不良品が検査をすり抜けて顧客に出荷されてしまう可能性がある点です。抜き取るサンプル数を多くしたり、同一ラインにおいて不良品が一定以上ある場合は、対象製品の全てを不良品にするといった調整方法もありますが、いずれも全数検査より完全ではありません。

インライン検査

工場では通常、製造に必要な機械や設備を製造工程の順に並べて生産ラインを組みます。インライン検査とは、生産ラインの中に検査装置を組み込んで検査する方法です。

インライン検査のメリットは、機械や設備と連動しているため、検査の自動化が行いやすいこと。製造ラインを止めることなく実施できるため、効率よく製品を製造・出荷できます。

反対にデメリットは、静止画(画像)を撮影するためのカメラや、画像処理に必要なシステム、そのほかセンサーなど、検査を自動化するための設備が必要な点です。こうした設備の導入には当然コストが発生します。

オフライン検査

オフライン検査とは、生産ラインから製品を取り出して検査する方法です。オフライン検査のメリットは、人による検査でも対応できるため、導入コストが抑えられること。

デメリットとしては、人による検査とした場合に検査時間に時間がかかったり、検査精度にバラつきが生じるなどといった点が挙げられます。オフライン用の自動検査装置もありますが、生産ラインから一度移動させることになるため、その分の時間的ロスや導入コストなどがかかります。

目視検査

目視検査とは、人間が目で見て行う検査方法です。目視検査のメリットは、人件費以外の導入費用がほとんどかからず、短期間で準備できる点です。また目視による検査だけでなく、同時に手触りや匂いなどといった人間の五感を活用した複雑な検査も行える点です。

デメリットは人間が検査を行うので、検査時間がかかる上、精度にもバラつきが生じる点です。また検査内容によっては、技術や経験も必要なため、人員の確保、教育も難しくなります。

自動検査

自動検査とは、カメラによる画像認識やセンサー等を用いて自動で検査を行う方法です。自動検査のメリットは、高速に検査できる点と検査精度にバラつきが生じにくい点が挙げられます。

24時間365日稼働させることも可能であり、検査員にかかる人件費などのコストを削減することも可能です。

デメリットは、検査設備の導入費やランニングコストがかかる点です。また通常こうした自動検査では、良品・不良品の判定に、基準に対する許容範囲(しきい値)を明確に設定する必要があります。不良の程度を人間が数値化をして、パラメータ等を調整したり、検査対象物を常に同じ撮像状態に調整するなどといった技術的な運用が必要となります。

AIによる自動検査

外観検査における自動化の分野では、昨今AI(機械学習)の活用に注目が集まっています。

従来の自動検査は、先ほど紹介したように不良の程度を人間が数値化し、パラメータ等を調整する必要があります。キズの大きさや数のようなものは比較的数値化しやすいですが、色ムラや複合的な判断による不良判定など数値化が難しいケースもあります。また、しきい値を厳しくすると過検出が頻発し、再度人間による目視検査が必要となるなど、無駄も生じてしまいます。

一方、AI(機械学習)による自動検査では、良品または不良品の静止画(画像)データをもとに、AIが特徴量を学習しながら、良品・不良品の判定を行います。過検出が発生しても、それを良品(不良品)と学習させるなど、運用しながら検出精度を少しずつ高めていくことが可能です。

弊社ブレインズテクノロジーでは、最新のAI技術を活用した外観検査システムを開発・提供しております。お手元にお持ちの静止画(画像)データによる無料のAI分析サービスも提供しておりますので、ご関心ございましたらぜひ一度お問い合わせください。

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さてここまで、外観検査における代表的な検査方法の種類とそれぞれ概要をお伝えいたしました。次は具体的な検査基準について解説します。

外観検査の検査基準

外観検査の検査基準

検査においては前もって検査基準を明確にしておくことが重要です。特に外観検査における検査基準は、キズの大きさや数など数値化しやすいものから、色ムラや変形、湾曲など、判断が曖昧になりやすい検査項目も存在します。

また検査員が複数人いるような体制の場合、検査員全員にこうした基準が正しく伝わることが大切です。

では具体的な基準について見ていきましょう。

限度見本

限度見本とは、良品・不良品の限度を示した製品見本です。限度以内なのか、限度を超えてしまっているのかを、この限度見本と比較しながら検査を行います。

不良見本

不良見本とは、限度見本の中でも、不良品となる限度を示した製品見本です。不良見本と比較して不良の程度が見本の程度にまで達していれば不良品となります。

標準見本

標準見本とは、標準的な品質の程度を示した製品見本です。良品・不良品の限度とは別のアプローチになりますが、全体を標準見本に近づけることで品質が安定します。

ドットゲージ

ドットゲージとは、傷や異物などの形状を様々な面積で示す基準ゲージです。透明なシートとして印刷され、検査対象の製品に直接乗せて確認します。ノギスやスケールを用いた測定に比べて測定者による差を小さくできます。

AI外観検査における検査基準

AI(機械学習)による外観検査では、良品見本、不良見本をもとに特徴点を学習(教師あり学習)、または複数以上の標準見本から特徴点を学習(教師なし学習)することで、AIが自動でしきい値を算出し、良品・不良品の判断をします。

AIによって、単一の要因だけから不良を検出するだけでなく、傷、汚れ、色ムラ、湾曲など、複合的な要因であっても高速に処理・判断を行います。より人の感覚に近い高度な判断を高速に行うことが可能です。

外観検査を適切に行うための作業室の明るさについて

外観検査を適切に行うための作業室の明るさについて

外観検査では、目視検査、自動検査のどちらにおいても、検査部分が適切に行える明るさを整えるのも重要です。

明るすぎても、暗すぎても微細な不良の確認は難しくなります。また、光の当たり方により反射や影が発生し、見え方にバラつきが生じてしまいます。

例として、検査台や検査室の照度、色温度は「JIS Z9110 照明基準総則」で定められています。下記は「JIS Z9110 照明基準総則」より抜粋した照度の基準です。

領域、作業、または活動の種類 照度[lx]
精密機械,電子部品の製造,印刷工場での極めて細かい視作業,例えば,組立 a,検査 a,試験 a,選別 a 1500
繊維工場での選別,検査,印刷工場での植字,校正,化学工場での分析などの細かい視作業,例えば,組立 b,検査 b,試験 b,選別 b 750
一般の製造工場などでの普通の視作業,例えば,組立 c,検査 c,試験 c,選別 c,包装 a 500
粗な視作業で限定された作業,例えば,包装 b,荷造 a 200
ごく粗な視作業で限定された作業,例えば,包装 c,荷造 b・c 100
設計,製図 750
制御室などの計器盤および制御盤などの監視 500
倉庫内の事務 300
荷積み,荷降ろし,荷の移動など 150

まとめ

今回ご紹介したように、外観検査には検査の種類や検査基準が様々存在します。中でも、近年注目を集めている、AI(機械学習)による外観検査は、良品・不良品の程度を運用しながら学習させていくことで、より精度が高められたり、複合的な要因からでも高速に判定することが可能です。

いずれの方法・基準であっても、自社の製品の特徴や生産ライン、予算等に合わせた最適な検査方法、基準を選定することが大切です。

最後に、弊社ブレインズテクノロジーでは、最新のAI技術を活用した外観検査システムを開発・提供しております。お手元にお持ちの静止画(画像)データによる無料のAI分析サービスも提供しておりますので、ご関心ございましたらぜひ一度お問い合わせください。

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