外観検査における目視検査のメリット・デメリット

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外観検査における目視検査のメリット・デメリット

製造された製品や部品は、出荷する前や各製造工程において品質基準を満たしているかといった検査が行われます。様々な検査の中でも「外観検査」は、製品、部品の表面に傷・汚れ・変形・バリ・欠け・異物の付着などの不良が無いかをチェックする検査です。

従来の外観検査は、人の目で見て確認する「目視検査」が多く行われていました。近年では、作業の効率化や検査精度を向上させるため、外観検査システムなどによる検査の自動化が進んでいます。さらに、ルールベースによる判定だけでなく、より柔軟かつ高度な検査が行えるAI(機械学習)の活用に注目が集まっています。

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AIを活用した外観検査に最適なソリューション「Impulse」
2014年市場に先駆けてリリースされ、数多くのお客様の現場で鍛え上げられたAI異常検知ソリューション「Impulse」。

静止画や動画データをもとにしたAI分析によって、良品・不良品の判定、傷・異物・湾曲等の検出など、従来のルールベースでの外観検査システムでは発見できなかった異常の判別によって、企業活動における品質向上・品質改善に貢献いたします。

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外観検査における目視検査とは

外観検査における目視検査とは

目視検査とは、人が実際に目で見て行う検査方法です。例えば、製品表面についた傷の目視検査ならば、傷の有無を目で見るか、拡大鏡を通して確認します。どんなに細かい傷であっても1つ以上の傷があれば不良品となるものは、傷を発見した時点で不良品となります。

傷の大きさ、深さ、数などに基準がある場合は、測定器具を用いて計測するか、基準となる見本品と比較し、品質基準に達していなければ不良品となります。

目視検査は導入しやすく、身近な検査方法であり、古くから行われてきました。単純な検査方法ですが、微細な部品についた僅かな不良をも見落とさずに検査するには、経験や技術が必要になる場合もあります。

人間の五感を活用する官能検査

先ほどご紹介した目視検査は、人間の五感(視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚)を使って検査を行う「官能検査」の一つです。

例えば、味覚を使った官能検査では、実際に人が食べて味わうことで、食品の味の良し悪しを判断する食味官能試験などがあります。聴覚を使った検査では、検査対象物を叩いて音の変化を確認することにより欠陥部分を判定するといった打音検査があります。ほかにも、臭いや手触りなど、人間の感覚に頼った官能検査の手法は多くあります。

官能検査では、人が感じる変化を確認することが出来ますが、数値化することが難しく、個人差が出やすいのが特徴です。僅かな差を判断し、平均的に結果を出せるようにするためには、検査員の経験や技術が求められます。

外観検査において、官能検査の一つである目視検査は依然として検査の手法としては、取り入れやすく身近であるため、代表的な検査手法です。

外観検査における目視検査のメリット・デメリット

外観検査における目視検査のメリット・デメリット

では、具体的に「目視検査」には、どのようなメリットやデメリットが存在するのでしょうか。

目視検査のメリット

目視検査の最大のメリットは、導入しやすい点が挙げられます。

検査の内容によっては、特別な機器や設備なども必要なく検査員さえいればすぐに実施できるものもあるでしょうし、仮に機器や設備が必要な場合でも、ライト(照明)や拡大鏡のような、ごく一般的なものを利用して実施することも可能です。

また目視検査だけでなく、検査対象物を叩いて音の変化を確認したり、手触りも一緒に確認するなど、複数の検査を同時並行させるなどといった柔軟性も兼ね備えています。

目視検査のデメリット

目視検査のデメリットは、人が検査を行うため、検査の精度が100%ではなく、不良品の見逃しが発生したり、経験や技術により検査結果に差が出やすいことです。また、人間の能力には限界があるため、検査のスピードや精度にも限界が発生します。

また、検査精度のバラつきを抑えたり、検査の精度やスピードを上げるには、検査員への教育や訓練が必要になり、そのためには時間も人件費などのコストもかかります。検査員の体調や、検査現場の環境変化でも検査結果に差が生じるケースもあるでしょう。大量の検査対象物を連続で検査すれば、疲れにより検査ミスも発生しやすくなります。

さらに、製品の出荷数などに応じて検査員を柔軟に確保したり、休ませるなどといった対応も基本的には難しいと言えます。

外観検査も目視検査から自動検査へ

外観検査も目視検査から自動検査へ

近年、製造業では人手不足が深刻な問題となっています。事実、経済産業省が毎年行っている調査でも、全産業に占める製造業の就業者の割合は年々下がっていることが分かります。(経済産業省「ものづくり人材の確保と育成」図 211-7 製造業就業者数の推移)

こうした製造業の人手不足の問題に対応するため、自動化の技術を導入する動きは早くから推進されてきました。産業ロボット、自動搬送装置などが稼働する自動車製造のラインでは、特にこうした技術を進んで取り入れています。

検査の工程においては、人の目による目視検査に代わり、カメラによる画像認識による外観検査やセンサーを用いた自動検査の導入が進められてきました。自動検査であれば、大量の製品を人よりも高速に検査することができます。必要であれば、24時間稼働させることも不可能ではありません。

また、検査装置にトラブルや不具合等が発生せず、検査環境も一定であれば、検査ミスも極力少なく高い精度を維持することができます。

もちろん、人による検査とは異なり、設備投資やIT人材(またはベンダー)の確保など導入に至るまでのハードルは多少高いとも言えます。しかし、不良品流出のリスクや検査に必要な人員コストや教育コストなど、トータルで考えた場合にメリットが大きいと判断した企業から実際に自動化へと踏み切っています。

AIを活用した外観検査(自動検査)

AIを活用した外観検査(自動検査)

今回のテーマでもある外観検査を自動化させる技術の一つとして、AI(機械学習)の活用に注目が集まっています。

従来の自動検査では、ルールベースによる不良品検出が行われてきました。ルールベースによる不良品検出は、カメラから収集される静止画(画像)や、センサ等から得られるデータをもとに、傷・汚れ・位置ずれ・色ムラなどを認識し、許容範囲(しきい値)から外れるものを不良品とします。単純な仕組みであるため、比較的高速に不良品を検出することが可能です。

しかし、しきい値を明確に定める必要があるため、不良の程度を人が数値化してパラメータを調整しなければなりません。天候や工場内の照明具合など、撮像環境が変わった場合もまた調整が必要となります。

さらに設定した数値(閾値)を超えたものは全て不良と判定するため、過検出(または見逃し)が発生しやすいとも言えます。それらが頻繁に発生するようだと再度検査を行う必要が生じるなど無駄が発生してしまいます。

一方、AIを用いた外観検査は、不良品、または良品の静止画(画像)データからAIが特徴を学習し、良品・不良品を判定します。判別の難しいデータを学習させることもできるため、より柔軟かつ人の感覚に近い精度で検出が可能となります。

また、大きさと色、傷の深さと形など、複合的な要因を多角的に分析することも可能なため、場合によっては人よりも精度の高い検出も可能です。

AI外観検査ソリューション「Impulse」

弊社ブレインズテクノロジーが開発する「Impulse」は、様々な現場で鍛え上げられた高精度なAIモデルが利用できる外観検査システムです。

多様なモデルを活用することで、検査精度よりも判定スピードを重視したいといったケースや、その反対(判定スピードよりも検査精度を上げたい)、あるいはそのどちらのバランスも取りたいなどといったニーズに柔軟に対応できる優れた特徴を持っています。

またこれまでの導入実績や経験をもとに、お客様の現場や製品に合わせた最適なご提案や導入サポートも可能です。お持ちのサンプルの静止画(画像)データから、どのような結果が出るか無料の分析サービスも行っておりますので、ぜひご関心ございましたらお問い合わせください。

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まとめ

さて今回は、製造現場で行われる目視検査のメリットとデメリットをご紹介するとともに、AIによる外観検査についてご紹介させていただきました。

人による目視検査は身近なもので柔軟性も高く、比較的導入しやすい検査ではあります。しかし一方で、検査の精度やスピードには限界があります。また経験や体調面での精度のバラつきなども起こりえる検査手法です。

検査スピードを上げることでのサイクルタイムの改善・短縮に貢献できるほか、不良品流出のリスクを低減させる手法として、ぜひご検討いただけますと幸いです。

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AIを活用した外観検査に最適なソリューション「Impulse」
2014年市場に先駆けてリリースされ、数多くのお客様の現場で鍛え上げられたAI異常検知ソリューション「Impulse」。

静止画や動画データをもとにしたAI分析によって、良品・不良品の判定、傷・異物・湾曲等の検出など、従来のルールベースでの外観検査システムでは発見できなかった異常の判別によって、企業活動における品質向上・品質改善に貢献いたします。

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