AIを活用した予兆検知とは?検知の手法とAI活用のメリットをご紹介

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AIを活用した予兆検知とは?検知の手法とAI活用のメリットをご紹介

予兆検知とは、機械や設備などのトラブルの兆候を察知するもので、大きなトラブルにつながらないようにする保全活動の一種です。そして近年、そのトラブルの兆候を捉えるためにAIを活用する企業が増えています。

今回は、AIを活用した予兆検知とは何か?その目的や活用メリットをご紹介します。

Impulse
AIを活用した予知保全に最適なソリューション「Impulse」
2014年市場に先駆けてリリースされ、数多くのお客様の現場で鍛え上げられた異常検知ソリューション「Impulse」。

複雑で膨大なセンサーからの時系列データや音声・画像・映像等からデータを収集/分析し、従来の管理では発見できなかった障害や故障予兆の検知、不良品の検出、要因分析などを行います。

Impulse 公式サイトはこちら

予兆検知とは

予兆検知とは

AIによる予兆検知について解説する前に、まずは一般的な予兆検知について整理しておきます。

予兆検知とは、機械や設備などに起こるトラブルの兆候を事前に察知することです。トラブルそのものを検知するのではなく、トラブルの兆候を事前に察知するのがポイントで、これにより機械や設備の異常が実際に起こる前に、メンテナンスや修理といった保全作業を可能とします。

予兆検知においてポイントとなるのは「いつもと違う」異音や振動、温度など。例えば普段であれば30分おきにピークがある振動が、あるときを境に15分でピークが発生するようになった場合、これを「普段と違う」と判断し、アラートを発しなければなりません。

このような検知のために、現場に監視員を配置し定期的に点検を実施したり、蓄積されたデータを用いて異常が起きていないかを分析します。

時系列を伴わないデータだと、振動の強さなどにより瞬間的なアラートを発することは可能ですが、過去の時系列データと照らし合わせることで「いつもと違う」が検知できるようになるのです。

予兆検知に使用されるデータは主に、振動・温度・圧力・流量・電流・速度などがあります(機械や設備ごとに必要なデータは異なる)。また機器によっては、調子が悪くなる前に異音を発するケースも多いことから、音響データなども頻繁に利用されます。

データの取得には、PLCやSCADAなどを利用する他、マイクや振動計といった外付けのセンサなどを使用するケースもあります。

予兆検知を行うメリット

予兆検知の最大のメリットは、機械や設備の異常を事前に察知し、停止や故障してしまう前に何らかの保全やメンテナンスなどの対策を取ることにより、大きなトラブルを未然に防ぐことができる点です。

例えば、加工機が急な故障で停止した場合、加工が途中で止まってしまった仕掛かり品は製品として品質を保つことができないため、販売できず破棄しなければならないケースもあるでしょう。また常に稼働する大型の機械などであれば、メンテナンスを依頼してから再稼働するまでの待ち時間が長くなると、大量のロスが発生してしまいます。

しかし、事前にトラブルを察知できれば、仕掛品の破棄や急な機械の停止が起きにくくなり、また実際の故障に至る前にメンテナンスを依頼できるようにもなるため、機械や設備の停止時間を短縮することができます。

大きなトラブルに至る前に何らかの対策が行えるため、トラブルによるロスを小さく抑えることができるのです。

予兆検知と予知保全の違い

同じく、予兆検知と共に語られる言葉として「予知保全」があります。

予知保全とは、予兆検知によって機械や設備の不具合や故障をあらかじめ察知し、機械や設備を監視・メンテナンス等を行うことで常に最適な状態で管理すること。

つまり、予知保全は管理や活動自体を意味し、予兆検知はその手段と言えます。ただし現場では同じ意味として扱われたり、混同して使用しているケースもあります。

予兆検知にAIを活用するメリット

予兆検知にAIを活用するメリット

先ほど、予兆検知を行うメリットについてご紹介しました。では近年注目されているAIがどのようにこの予兆検知の分野に活用され、AIによってどのようなメリットが生じるのかを紹介していきます。

AIによって何ができるようになるのか

予兆検知を実際に行う場合、機械や設備の状況を多角的に診断する必要があることから、振動や温度など、取得するデータの種類がとても多くなります。

また監視しなければならない機器の数や監視する部位が多くなれば、それに伴い取得されるデータ量もうなぎのぼりに増えてしまいます。

そのような大量のデータをリアルタイムで人間が監視し続け、都度分析を続けるのは実質不可能に近いです。

このような問題を解決するために、昨今活用され始めているのがAIです。

AIであれば大量なデータを単に処理できるだけでなく、それぞれの関係性も学習することで、機械や設備における何らかの異変を捉えることができます。また機械学習によって、運用しながら検知の精度を高めることが可能です。

学習モデル(分析アルゴリズム)を運用しながら育てていくことによって、よりベテラン監視員に近い感覚で異変を察知できたり、あるいはこれまで見つけられなかった未知の異常をも捉えられる可能性も秘めているのです。

AIの活用によるメリット

予兆検知においてAIを活用することで、実際にどのような恩恵が企業や現場にとって生じるのでしょうか。

以下に代表的な活用メリットを挙げます。

  • データ監視の自動化による省人化(コストダウン)
  • 事前の保全・メンテナンスの実施によるリスク低減
  • ベテラン監視員などが持つ勘やコツの言語化・数値化(技術伝承)

大きなトラブルが発生すれば、停止中のロスによる損失だけでなく、場合によっては今後の取引に影響が出たり、サービスを利用するお客様からの信用を失ってしまうなど、大きなリスクへと繋がる可能性もあるでしょう。

予兆検知をAIにシフトすることで人件費の削減を行うという目的だけでなく、少しでも上記のようなリスクを排除するために、現場での人による監視に加えて、AIを活用した予兆検知を取り入れるという企業も増えています。

また労働力が不足すると言われている製造業の分野では、少ない人員リソースでも安定的に機械や設備を稼働させなければならない状況が来ています。

そのために、AIにその監視をまかせるといった取り組みだけでなく、停止や故障に繋がる要因をベテラン監視員に代わって言語化・数値化してくれるという技術伝承での側面でも注目されているのです。

予兆検知におけるAIの活用事例

予兆検知におけるAIの活用事例

AIを活用した予兆検知は、すでに様々な現場で活用されています。ここでは弊社が開発・提供する予兆検知ソリューション「Impulse」による事例をご紹介します。

大阪ガス株式会社:予知保全プラットフォームにAIを活用

関西を中心に700万世帯を超えるお客様の快適な暮らしとビジネスの発展に貢献されている大阪ガス株式会社。

同社にあるデータ分析の専門部署「ビジネスアナリシスセンター」が、データ分析業務の高度化・効率化を指向し、データ分析基盤の整備に着手。

先進的な取り組み、高い分析力で知られる同社が、「ビジネスを変えるデータ分析」を支える予知保全プラットフォームとして、AIを活用しています。

大阪ガス様のAI活用事例詳細はこちら

ヤンマー株式会社:内燃機関の予知保全にAIを活用

内燃機関、農機、建機、小型船舶などの製造・販売を行うヤンマー株式会社において、グループの研究開発のコアセンターとなる「中央研究所」では、内燃機関の予防保全に向け、多種多様なセンサーデータ、機械学習を活用した先進的なクラウド基盤の構築に着手。

製品の信頼性・耐久性の高さに定評のある同社が、更なる研究開発、サービス向上を目指し、AI異常検知プラットフォームとして「Impulse」を導入しています。

ヤンマー株式会社様のAI活用事例詳細はこちら

ナブテスコ株式会社:風力発電機の状態監視にAIを活用

モノを”動かす・止める”モーションコントロール技術を強みに、幅広い産業の発展に貢献するナブテスコ株式会社は、風力発電機の保守を目的に、風力発電機ヨー旋回部の故障回避・状態監視機器「CMFS」を開発。

同製品のデータ分析にAI異常検知ソリューション「Impulse」を採用し、風力発電機の故障回避や延命化に貢献しています。

ナブテスコ様のAI活用事例詳細はこちら

株式会社オプテージ:通信障害(サイレント障害)の監視基盤としてAIを活用

企業から個人まで高付加価値な情報通信サービスを提供し、関西を中心とした通信インフラを支えている株式会社オプテージ(旧:株式会社ケイ・オプティコム)。

ネットワークの品質維持や向上のため、従来より様々な取り組みをおこなってきた監視制御システムチームが、更なるサービス品質向上のため機械学習を活用した異常検知への取り組みに着手。

従来の閾値監視では発見が困難であった通信障害「サイレント障害」の解決に、高い検知精度を備えた監視基盤としてAIを活用しています。

オプテージ様のAI活用事例詳細はこちら

AI異常検知を現場に導入するまでの流れ

AI異常検知を現場に導入するまでの流れ

製造・生産現場における予兆検知を目的に、AIを導入するまでの流れについては下記記事で詳しくご紹介しております。ご関心ございましたら、ご覧いただけますと幸いです。

AIによる予兆検知を現場に導入するまでの流れ
※予知保全をテーマとした流れが記載されておりますが、ほかテーマにおいても基本的には共通しております。

まとめ

さて今回は、AIによって機械や設備などのトラブルの兆候を察知する、AIを活用した予兆検知についてご紹介しました。

労働力不足が懸念される製造・生産現場において、日々稼働する機械や設備を少ないリソースの中で今後も安定的に動かしていくために、AIの力を借りるという方法が注目されています。

ぜひ今回ご紹介した内容を参考に、貴社に導入される機械や設備の予兆検知にぜひ、AIの活用を検討して頂ければ幸いです。

異常検知ソリューション「Impulse」の詳細はこちら

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AIを活用した予知保全に最適なソリューション「Impulse」
2014年市場に先駆けてリリースされ、数多くのお客様の現場で鍛え上げられた異常検知ソリューション「Impulse」。

複雑で膨大なセンサーからの時系列データや音声・画像・映像等からデータを収集/分析し、従来の管理では発見できなかった障害や故障予兆の検知、不良品の検出、要因分析などを行います。

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