企業のナレッジマネジメントが思うように進まない理由と具体的解決法
カテゴリ:ナレッジマネジメント
ベテラン社員や優秀な社員が持つ知識やノウハウを、いかにして他の従業員に共有していくかは企業にとって重要な課題です。
社内におけるこうした知識伝承・技術伝承の活動を「ナレッジマネジメント」と呼びますが、その具体的な手段や取り組み状況は企業によっても千差万別。全く手付かずのところもあれば、過去に何度も実践しては中途半端に終わってしまっているなどのケースも多く見られます。
そこで今回は、企業でのナレッジマネジメントの活動が思うように進まない理由とその具体的解決法をお伝えいたします。また記事後半ではナレッジマネジメント活動の最初の一歩に適した「エンタープライズサーチ(企業内検索システム)」についてもご紹介させて頂きます。
ナレッジマネジメントにこれから取り組もうと思っている方や、思うように進められずお困りの方の参考となれば幸いです。ぜひ最後までお付き合いください。
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企業においてナレッジマネジメントが進まない理由
そもそもなぜ企業において、ナレッジマネジメントの活動は思うように進まないのでしょうか。
会社ごとの業務内容の違いはもちろん、企業風土や取り組む従業員の意識にもよるため一概にその原因を特定することはできませんが、良く起こりうるパターンとしていくつかご紹介します。
1. ベテラン社員にとって知識共有のメリットがない
2. 活動初期だけでなく継続的な啓蒙が必要
3. 活動自体の評価がしづらい
1. ベテラン社員にとって知識共有のメリットがない
ベテラン社員や優秀な社員は、長年の経験やそれらから得た知識を個人の暗黙知として所有していると言われています。そしてその暗黙知を形式知化し他の社員に共有することができれば、全社的な従業員のスキルアップが期待できるでしょう。
暗黙知とは、個人の経験や勘などに基づいた、他人に説明することが難しい、あるいは説明するには時間や別の知識などを有する知識のこと。
しかし実際には、ベテラン社員や優秀な社員ほど業務に追われており、暗黙知を形式値へと昇華させられる時間を十分に取ることができません。
形式知とは、暗黙知とは反対に、文章や図解、数値などによって、誰が見ても理解できるような形式で表現された客観的な知識をのこと。
そればかりか、これまで積み上げてきた勘やノウハウを何のメリットもなく自身の時間を削ってまで形式知化し、他の社員に共有したいとは思わないのではないでしょうか。
こうした理由によりナレッジマネジメントが進まないとすれば、仮に大がかりな仕組みや専用ツールを導入したところで社内の知識伝承・技術伝承は思うように進みません。ベテラン社員や優秀な社員の方が積極的に知識共有したくなる仕組みや評価制度等を整えてから取り組むべきです。
2. 活動初期だけでなく継続的な啓蒙が必要
ナレッジマネジメントの活動初期は興味本位から積極的に情報共有に協力してくれる社員も一部いるでしょう。しかし上記で挙げたように共有によるメリットがさほど感じられないようだと、共有の頻度は徐々に減ってくるはずです。
そうならないためにも、ナレッジリーダーと呼ばれるナレッジマネジメントの推進者(必要人数は規模や取り組み内容による)をしっかりと立てて、社内において継続的な啓蒙活動を行う必要があります。
また活動の初期段階でも、ナレッジマネジメントを行う目的やツールを導入する場合はその操作方法や運用ルールなどを社内に展開する必要があるでしょう。
このように単に仕組みやツールを導入すれば良いというものではなく、地道な啓蒙活動や運用ルールの見直しなどが長期的に発生するのもナレッジマネジメントが進まない理由の一つです。
3. 活動自体の評価がしづらい
上記二つを見ても、ナレッジマネジメントの活動がいかに企業において推進していくのが難しいか何となくご理解頂けたかと思います。そして最後にもう一つ大きな理由として、こうしたナレッジマネジメントの活動をどのように評価すべきかが難しいという点も挙げられるでしょう。
ナレッジマネジメントによる知識共有・技術共有をどこまで行えばその企業にとって一定の効果が認められたのか、あるいは費用対効果はあったのかを定量的に表すのが難しいからです。(活動前後の従業員へのアンケート調査やナレッジ共有による成果を定期的な社内テスト等で測る方法などがあります)
経営層としても、売上や利益に対してどの程度貢献したかというような直接的かつ定量的な評価が難しいとなると、ナレッジリーダー(活動推進者)に対する評価はもちろん、企業としてどこまで投資すべきか判断に迷うこともあるでしょう。
こうした活動への評価の難しさも、企業においてナレッジマネジメントが定着しづらい要因なのです。
どうでしょうか、ここで紹介したような理由に思い当たる節はありませんか?これから取り組もうとしている方や何とかしたいと思っている方にとっては少し耳の痛い話だったかもしれません。
しかしだからと言って、ナレッジマネジメントの活動そのものが全く不必要ではないはずです。ベテラン社員や優秀な社員の持つ暗黙知を他の社員にも共有できたら、どれだけ効率的に業務が進むでしょう。あるいは営業活動においても必ずや大きな成果が期待できるに違いありません。
次は上記のような課題に対して、ナレッジマネジメントを社内で成功させる具体的な方法をご紹介します。
ナレッジマネジメントを成功させる具体的解決法
では具体的にどのようにして活動に取り組めば、社内にナレッジマネジメントの文化を定着させることができるのでしょうか。
ここでは4つナレッジマネジメント成功のための具体的解決法をご紹介します。
1. 有名なフレームワークを活用する(SECIモデル)
2. 最初はスモールスタートを切り社内で小さな成功体験を重ねていく
3. いきなり高機能なナレッジマネジメントツールを導入しない
4. 個人にとってのメリットをしっかりと確立させる
1. 有名なフレームワークを活用する(SECIモデル)
ナレッジマネジメントという言葉を知っている方であればご存知の方も多いですが、「SECI(セキ)モデル」と呼ばれる有名なフレームワークに沿って取り組むのも一つの方法です。
SECIモデルは、一橋大学大学院教授の野中郁次郎氏らが提唱し、著書「知識創造企業:1996年発売」をきっかけに1990年代後半から長い間ナレッジマネジメントの分野で注目を浴びている有名なフレームワーク(概念やプロセス)です。
※SECIモデルの詳細や具体的な取り組み事例については、下記記事で詳しくご紹介していますのでぜひ参考にしてください。
(参考)SECIモデルとは?企業におけるナレッジマネジメントへの活用と具体例
自社のナレッジマネジメントを上記フレームワークに照らし合わせることで、どこのプロセスが手薄なのか俯瞰的に見ることができます。
反対にこれから取り組むという場合は、どのようにして暗黙知を形式知化していくのかが体系的に理解できるため、知っておいて損はないでしょう。
2. 最初はスモールスタートを切り社内で小さな成功体験を重ねていく
とは言え、現実的にナレッジ共有の文化が社内にほとんど根付いていないケースにおいては、上記フレームワークを使っていきなり各プロセスにおける「場」を提供することで、逆に混乱につながってしまう可能性も。(SECIモデルの各プロセスの詳細については先ほど紹介した記事をご確認ください)
ナレッジマネジメントの文化をしっかり定着させるには、最初から大きな成功を期待するのではなく、小さな成功を積み重ねていきながら、長期的な視野で取り組んでいくことが大切です。
そのためにもまずはスモールスタートを意識し、特定の部署やチームに絞って活動を開始しながら、仕組みやツールによって少しずつ効果を実感してもらい、理解者や賛同者を集めることが遠回りのようで一番の近道だと言えます。(一定の効果が出れば、社内の成功事例として他の部署やチームにも展開しやすい)
また特定の部署やチームに絞ることで、対象人数や範囲が限定されるため活動への協力も得やすく、また活動前の状況等を定量的な数値として事前に取得しておくこともさほど難しくないでしょう。
3. いきなり高機能なナレッジマネジメントツールを導入しない
上記内容と少し重複しますが、ナレッジマネジメントを行うにあたっていきなり大がかりで高機能なナレッジマネジメントツールを導入してしまうと、かえって現場で混乱をきたしたり、あるいはその後の定着に繋がらないといったことも珍しくありません。
(参考記事)ナレッジマネジメントツールとは?主な機能&種類、導入メリット徹底解説
またナレッジリーダーに対しても、操作方法や共有ルール(記載方法やタイミング等)への問い合わせが殺到し、その対応に追われてしまうことで、本来行うべき啓蒙活動や効果測定等に時間がかけられないといった自体になりかねません。
そもそもナレッジマネジメントにおいて、活動の全てを網羅する万能な仕組みやツールは現時点では存在しないと言って良いでしょう。様々な仕組みやツールによって相互に補完し合いながら、企業におけるナレッジマネジメントの活動を構築していくというイメージの方が近いです。
そうした意味では、活動の最初の段階では取り組みやすい、定着しやすい仕組みやツールの導入から入っていくのがベストだと言えます。(中でもエンタープライズサーチは活動初期に取り組みやすいツールの部類に入ってくるかと思いますが、その理由については記事後半でご紹介いたします。)
4. 個人にとってのメリットをしっかりと確立させる
先ほども紹介したように、活動目的やナレッジ共有のメリットを整理しないままいきなりナレッジマネジメントの取り組みを行っても、従業員は自分の時間を割いてまで積極的にナレッジ共有に取り組んでくれることはありません。むしろそれが自然だと思います。
ナレッジマネジメントを社内で活発的に進める、あるいは文化として定着させるのであれば、やはりそれを行う目的やメリットを個人にまでしっかりと落とし込み、仕組みとして構築する必要があるでしょう。(企業にとってのメリットはよく語られるがそれだけでは定着しない)
具体例を挙げるとすれば、ナレッジ共有の回数や濃度によって従業員間での定量的なランク付けを行い、さらにそれを可視化したり、全社あるいは横串での会議で「○○さんのナレッジ共有によって具体的にxxといった成果が上がりました」などを共有するのもおすすめです。
さらに言えば、人事評価にまでしっかりと組み込み、昇進条件や給与・賞与といった直接的なインセンティブとして設定するのも効果的でしょう。
ナレッジマネジメントの活動に取り組んでいるがうまくいっていない、これから取り組もうという方はぜひここで紹介したような解決法も参考にして頂けると幸いです。
もう一度おさらいのために具体的解決策を挙げておきます。
1. 有名なフレームワークを活用する(SECIモデル)
2. 最初はスモールスタートを切り社内で小さな成功体験を重ねていく
3. いきなり高機能なナレッジマネジメントツールを導入しない
4. 個人にとってのメリットをしっかりと確立させる
ナレッジマネジメントの最初の一歩としてエンタープライズサーチをおすすめする理由
最後にエンタープライズサーチ(企業内検索システム)が、ナレッジマネジメントの活動において最初の段階に向いている理由をご紹介したいと思います。
本記事はエンタープライズサーチ「Neuron ES」を提供する、ブレインズテクノロジー株式会社によるものなので、ここから紹介する内容に関しては少々強引な印象を持たれる可能性もございますがご了承ください。ぜひナレッジマネジメントにおける一つのご提案としてお聞きいただけると幸いです。
エンタープライズサーチ(企業内検索システム)とは
エンタープライズサーチとは、企業内に存在するOffice文書やPDF、テキストファイル、画像ファイルといった様々なデジタルデータの保管場所(ファイルサーバや社内DB、SharePointなど)を意識することなく横断的に一括で検索できるシステムのこと。
実際に社内のデジタルデータが複数の保管場所に存在する場合、それらを利用する社員は各場所やサービスで目的の資料やデータを毎回検索しなければなりません。また検索精度の側面でも各保管場所の検索性能に依存するため、ケースによっては思うような資料やデータが検索できないという悩みを抱えているのが実情です。
こうした悩みを解決する手段として今、エンタープライズサーチが注目を集めています。
(参考記事)エンタープライズサーチとは?主な機能や導入メリット・活用事例を解説
ナレッジマネジメントに役立つエンタープライズサーチ3つの機能
企業内のあらゆるデジタルデータを横断的に検索できるエンタープライズサーチですが、企業におけるナレッジマネジメントの取り組みにどう役立つのでしょうか。
具体的にはエンタープライズサーチが持つ以下3つの機能が挙げられます。
1. 検索結果に文書ファイルの所有者が表示される
2. 検索キーワードを入力する際に他の社員がよく検索する語句を補完してくれる
3. 検索結果から類似文書のサジェストを行ってくれる
1. 検索結果に文書ファイルの所有者が表示される
エンタープライズサーチを使って実際に目的の文書やデータを検索してみると、検索結果画面に検索キーワード(検索語句)に関連した資料やデータが一覧として表示されます。
そしてこの検索結果画面において、各文書やファイルの「所有者」が表示されるため、その資料やデータに関して該当した所有者は少なくともそれらの情報に関して詳しいということが一目で分かるようになるのです。
もちろんエンタープライズサーチを利用しなくても、ファイルを右クリック(Macであれば⌘+I)し、文書ファイルのプロパティを確認すれば、所有者は表示されます。
しかし日常業務の中で一つひとつのファイルを右クリック等で所有者を確認するでしょうか。
検索を利用する度に誰が何に詳しいのかといった情報が潜在的に積み重なることで、そこから実際に「この資料の内容についてお聞きしたいです」などのコミュニケーションが発生するケースも良く耳にします。
2. 検索キーワードを入力する際に他の社員がよく検索する語句を補完してくれる
目的の資料やデータを探す際に、メインの検索キーワードに続く語句が思いつかなかったり、あるいは何となくでしか覚えていないなどのケースもあるでしょう。
エンタープライズサーチでは、他の社員が良く検索しているキーワードをデータとして蓄積し、実際に検索する際のサジェストとして、メインの語句に続くキーワードを補完してくれる機能があります。
これによりうろ覚えだったキーワードでも検索できるようになり、目的の文書にたどり着けたり、あるいは人によっては「こんな資料あったんだ!」などの発見に至ることもあるようです。
3. 検索結果から類似文書のサジェストを行ってくれる
最後3つ目は、類似文書のサジェストです。
エンタープライズサーチを利用して検索を行った際に、検索結果の内容に基づいて類似文書を表示(サジェスト)してくれる機能が存在します。
初回の検索で目的の情報を得られなかった場合の補完としてはもちろんですが、目的の情報を得られたとしても、似たような情報の存在をその場で新たに手に入れられるといったメリットがあります。
このような3つの機能によって、企業におけるナレッジマネジメント活動の一部を支えるツールとして、実際に利用されている事例も多数ございます。
(参考)エンタープライズサーチ「Neuron ES」最新導入事例はこちら
ナレッジマネジメントの初期段階にエンタープライズサーチをおすすめする理由
機能面とは別にナレッジマネジメントの初期段階として、エンタープライズサーチをおすすめしたい理由があります。
それは、ベテラン社員や優秀な社員に対してナレッジ共有へのメリットを作り出す必要がなく、なおかつ社内実績として成功に導きやすいという点が挙げられます。
そもそもエンタープライズサーチは、現時点で利用しているデジタルデータの保管場所を新たに変更するという発想ではなく、従来通り利用しながら検索性能だけ向上させるといったイメージに近いです。
そのためベテラン社員や優秀な社員含め、全社員これまで通り同じ場所に資料やデータを保存するだけで、効率的に様々な情報が検索できるようになります。
つまりはナレッジマネジメントのためにナレッジ共有するメリットを新たに作り出す必要はなく、従来通りの業務を行うだけで、自動的に一部のナレッジマネジメントに貢献できることに繋がるでしょう。
またナレッジマネジメントの取り組みへの貢献や役割は先ほど紹介ばかりですが、エンタープライズサーチ本来の役割は企業内に散財した資料やデータを一括にかつ高速に検索できることによる業務の効率化です。
下記に示すように、実は企業において「情報収集」にまつわる業務があらゆる業務の中で最も時間を割いていることが明らかになっています。
エンタープライズサーチを導入することで、従業員の業務の効率化が期待できるだけでなく、ナレッジマネジメントにおいても一部役立つとなれば、本記事でも紹介したようなナレッジマネジメントの取り組みにおける最初のスモールスタートとして無駄がないのではないでしょうか。
また実際に利用する社員へのメリットも既に確立されている(検索を利用することでの業務効率化)ため、社内における小さな成功事例として作り出しやすいはずです。
ナレッジマネジメントに取り組むにあたり最初から大がかりなツールを導入するのではなく、業務効率化による別テーマがあることでストーリーが作りやすく、従業員にとっても利用する価値の高いエンタープライズサーチをまず導入をご提案します。
まとめ
さて今回は企業においてナレッジマネジメントの活動が思うように進まない理由と具体的な解決策、そして最後にエンタープライズサーチがスモールスタートにおすすめな理由をご紹介いたしました。
今後働き手がさらに不足すると言われていますが、同時に効果的なナレッジマネジメントは企業にとってますます重要な課題となってくるはずです。
今回紹介したような良くあるケースにならないよう、具体的な解決策をぜひ参考にして頂き、エンタープライズサーチも併せてご検討頂けますと幸いです。
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