企業におけるデータ活用とは?その重要性と活用事例まとめ
カテゴリ:技術課題・解決法
企業における「データ活用」とは、企業内にある様々な情報資産を業務の効率化や経営戦略などに活かす活動のことを指します。すでに多くの企業があらゆるビジネスシーンでデータ活用に取り組み大きな成果を上げています。
このように企業活動にもはや欠かせないデータ活用ですが「自社でも本格的に取り組まなければ…」と思いながらも、何から手をつければ良いか分からない、理想とするデータ活用のイメージとは程遠いなどの状況も多いのではないでしょうか。
この記事では、企業におけるデータ活用のメリットや事例、すぐに始められるデータ活用ツールなどをご紹介します。
- データ活用とは何か
- データ活用の重要性と具体的なメリット
- データ活用に関する部門別の事例
- 施策や戦略のためのデータ活用手順
ぜひ最後までお読みいただき、自社のデータ活用におけるヒントを見つけていただければ幸いです。
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データ活用とは
そもそも企業における「データ活用」とはどのようなものでしょうか。
データと聞いて、一般的な業務で触れる機会の多いExcelやWord、PDFファイルなどをイメージされる方もいれば、画像や音声・動画などのデータを思い浮かべる人もいるでしょう。あるいは、基幹システムなどに入力された売上データ・顧客データなどを想像する方も少なくありません。
今回のテーマにおいて、これらのデータは全て企業における「データ活用」の領域に含まれると考えて良いでしょう。実際に全てのデータを有効活用できる状態が最も理想的ですが、売上インパクトや業務効率化などによって、どのようなデータから優先的に活用を進めるのかはそれぞれの企業状況次第です。
そしてこれらは必ずしもデジタルなデータとは限りません。
昨今の情勢からテレワークが一気に浸透し、紙資料などの記録もこうした背景から急速にデジタル化が進んでいるとはいえ、これらデータは活用されなければ、ただの数字や文字列に過ぎません。データから情報を読み取り、企業活動に活かしていくことが大切です。
データ活用という言葉の意味は広く、業務の生産性向上やマーケティングや営業活動に活かすなど、継続的な取り組みに対する活用を指しています。
実際に自社でどのくらい「データ活用」が進んでいるか、一度考えてみましょう。
データ活用の重要性と具体的メリット
では企業において「データ活用」に取り組むと、どのようなメリットがあるのでしょうか。
目的や手段は企業によって多岐に渡りますが、大きく下記3つが代表的なものとして挙げられます。
それぞれ具体的に解説します。
売上貢献・コスト削減
まず1つ目のメリットとして挙げられるのが、売上への貢献です。
データ活用によって顧客のニーズやアプローチの方法をより深く分析し、それを基に効果的な施策を生み出すことができれば、売上や利益の向上に大きく直結するでしょう。他にも顧客との取引履歴を素早く参照することで、顧客へのきめ細やかなフォローができれば、顧客満足度がさらに向上し、長期に渡る取引へと繋がるかもしれません。
さらに過去の売上等のデータから未来の売上予測を行い、必要以上の仕入れや人件費がかからないよう調整することでコスト削減にも期待が持てます。
業務効率化
データ活用によって、従業員の業務効率化を図ることも可能です。
ベテラン社員の長年の勘や経験によって培われた暗黙知を形式知へと変換し、さらにデータ化できれば、他の従業員がいつでも・どこでもそれらの知識を現場で活用することへと繋がり業務の効率化に繋がります。
> 暗黙知と形式知の意味や違いを図解で解説!ナレッジマネジメントに影響大
また無駄な業務やボトルネックとなっている作業をデータ活用によって可視化することも可能です。製造業であれば、生産ラインごとの稼働率や歩留まり率などをデータ化し、作業工程のどこにボトルネックがあるのかを分析することで、作業員の業務改善や効率化にも役立てられます。
さらには業務改善の前後でデータを比較することで、それらの効果検証も容易となるでしょう。
戦略のヒント
データの活用によるメリットは従業員や現場だけとは限りません。
社内外の適切かつ大量のデータを収集・集積することで、いわゆるビッグデータとなり、新規事業の立案や既存事業の改善点など、経営戦略に関わるヒントを得ている企業さえ今や当たり前となってきました。
特に大きな金額や人が動くような大きい判断となる場合、これまでのような経営者の勘・直感といったものだけではなく、科学的なデータに基づく予測やエビデンスがこれからの時代より強く求められるのではないでしょうか。
部門別のデータ活用に関する主な事例
では実際に、企業活動においてどのような部門でどのようなデータが活用されているのか見ていきましょう。
営業部門
営業部門におけるデータ活用としては、特に顧客管理・売上管理に威力を発揮します。
SFA/MA/CRMなどのツールを利用することで、顧客別の売上管理や顧客との取引状況・履歴、会話の内容などを可視化できるだけでなく、営業部門全体で他のメンバーに共有することで部署全体で顧客への対応力を向上することが可能です。
ツールによっては、商品別・販売地域別・営業所別など、様々な角度から売上データを分析することも可能です。これらを活用することで、より効果的な営業活動を推進できます。
製造部門
製造部門では、機械や設備の予知保全・故障予兆といった分野から、良品・不良品の検出などの品質保証の分野まで、製造工程における様々なデータ活用が注目されています。
製造ラインの稼働状況をBIツールなどで可視化したり、最近ではAI技術を活用した製造工程における異常検知ツールなども登場しています。
> AI技術を活用した製造現場における異常検知ソリューション「Impulse」
マーケティング部門
データ活用と聞いて真っ先にイメージする方も少なくないのは、このマーケティング部門ではないでしょうか。
マクロな視点では市場の調査や自社・競合の各種分析などの調査・分析に、ミクロな視点においては過去のマーケティング施策の検証や、ホームページの改善・広告の効果検証など、多くのデータを用いながら分析・改善を行っています。
当然データ活用のために利用するツールも多岐に渡ります。各種解析ツールはもちろん、自社内の過去データが集積されたDB、昨今では営業部門でも利用するSFA/MA/CRMツールをマーケティング活動に取り入れるケースも増えています。
カスタマーサポート部門
顧客からの問い合わせに応えるカスタマーサポート部門でも、データ活用は注目されています。顧客からの問い合わせ件数や通話時間、内容の種類といったデータを蓄積・分析し、商品開発等に役立てている企業もあります。
営業部門と同様に、顧客との会話の内容などを部門内で共有することで、顧客対応の均質化、全体的な対応レベルの底上げをも可能にします。CRMツールやFAQ構築ツールなどの活用が代表的です。
情報システム部門
社員が滞りなくかつ効率的に業務が行えるよう、ネットワーク等のインフラ環境を整える役目を持つ情報システム部門ですが、データ活用の場面では、その土台となる企業内の情報資産を整理・管理する役目を担うケースも少なくありません。
欲しい情報を素早く取り出せるようにするためには、日頃から企業内のデータ資産を扱いやすいように整備しておくことも大切となるため、データ活用という意味では今後も非常に重要な役割を持っています。
利用するツールも様々で、セキュリティ等を管理するツールから、企業内の情報を管理する文書管理ツールやエンタープライズサーチ(企業内検索システム)といったデータ活用に特化したツールも存在します。
人事部門
社員の勤怠や給与、その他プライベートな情報など、従業員一人ひとりのデータを分析することで、社内人事のヒントや離職率を低下させる糸口がつかめるかもしれません。
また採用活動において、応募数や応募者の属性、採用コスト管理など、様々なデータを分析することで、企業にとって重要な採用活動の効果を最大化させることも可能となります。
最近では、社員のモチベーションを管理するツールや会社へのエンゲージメントを高めるツールなどバラエティに富んでいます。採用活動の場面においては、企業の採用活動の支援を行う各企業が提供するツールも利用されています。
このように今回取り上げた部門以外でも、企業におけるデータ活用は近年急速に進んでいます。ビジネスの現場では、こうしたデータ活用にいち早く着目し、取り組み始めている企業から成果を上げているといっても過言ではないでしょう。
一方で発展途上の分野でもあり、SF映画のような瞬時に必要とするデータが取り出せるなどのイメージとは程遠いとも言えそうです。
では企業内のあらゆる部署の業務を改善するデータ活用ですが、実際どのように進めていけばいいのでしょうか。次は施策や戦略のためのデータ活用手順をお伝えします。
施策や戦略のためのデータ活用手順
データ活用の方法として、大きく二つの方向性が考えられます。
ひとつはデータからヒントを得て着想を膨らませていくパターン。
もうひとつはあらかじめある程度の目算があって裏付けのデータを探すパターンです。
データからヒントを得るパターン
いわゆる「ビッグデータ」の活用など、データマイニングと呼ばれる手法は、こちらのパターンに該当します。
客観的なデータを基にするため、重要な意志決定を行う際にはその方向性を間違えにくいというメリットがあります。また企画立案にあたっては、人間の勘や経験値を基にしないため、従来の発想の枠に囚われないヒントが新しく得られることも。
ただしデータの範囲・量ともに非常に膨大となるため、集計から分析まで多くの時間や労力が必要となるのが難点です。
データからヒントを得るパターンは下記のような手順で進めていきます。
1.データを集計する
まずデータを収集・集積します。データの質だけでなく量も含め、偏りのないデータを集めるようにします。
2.表やグラフにして読み解く
収集したデータを、表やグラフなどを使って可視化します。そうすることで人間がデータを読み解きやすくなると同時に、関係者への説明もしやすくなります。
データを読み解く際には次の4つを意識しましょう。
- 規則性:特定の傾向や条件による規則的な変化がないかをチェックします。規則性を発見できれば将来の動きの予測に役立つでしょう。
- 異常値:突出した値があれば、状況の変化やトレンドの発生の発見につながります。またデータの分析手法が不適切な場合も異常値が発現します。
- 因果関係:ある結果がおこる原因が特定できれば、事前に対応が可能です。マーケティングはもちろん、危機管理や、問題解決の糸口になるでしょう。
- 相関関係:ある事象と他の事情に何らかの関係があることを示します。因果関係も相関関係に含まれます。
なお、AIを使ったビッグデータの解析を行う場合は、グラフ化せずとも機械学習の力によって、データから様々な特徴量を自動的に判断することが可能となり、近年注目されています。
3.読み解きから得たヒントを実行する
データの読み解きから得られた様々なヒントをベースに、これから取るべき一手を検討します。
当たりをつけてからデータを活用するパターン
通常の企画業務や社内提案などでは、実際このパターンの方がまだまだ圧倒的に多いです。あらかじめ仮説を立て、それに沿った結論をデータから抽出します。
データからヒントを得るパターンと比べると膨大なデータ量が不要なため非常に効率的ですが、担当者の勘や経験値によって内容が左右されるため、属人性が高く、重要な意思決定としてはリスクがあるといえるでしょう。
まとめ
さて今回は企業におけるデータ活用について掘り下げてみました。この記事を読んで「それなら自社でもすでに取り組んでいる」と思われた方も少なくないと思います。
しかし昨今のデジタル化に伴い、企業内のデータ量は日々膨れ上がり、それを十分に活かせていると胸を張って言える企業はほぼないのではないでしょうか。
自社に眠るデータはまさに宝の山です。まだまだ理想的なデータ活用が進んでいない現状において、今すぐ取り組むだけで多くのアドバンテージがあると思っています。
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