セマンティック検索で”探せない”を無くすー業務効率化の新常識

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業務の中で「検索しても欲しい情報が見つからない」「結局、詳しい人に聞いてしまう」といった経験はありませんか?
実際には情報が社内に存在しているにもかかわらず、うまく探し出せない──この“探せない”という課題こそが、業務の非効率を生み出す大きな要因となっています。
従来の検索は、入力されたキーワードと完全に一致する情報しか探せないため、言い回しや表現が異なるだけで目的の情報にたどり着けないことも少なくありません。こうした問題を解決する手段の一つに「セマンティック検索」という検索方法があります。

これは検索キーワードの“意味”や“文脈”を理解し、関連性の高い情報を提示する新しい検索技術であり、まるで人に質問するかのような自然な検索体験を実現します。
「あるのに見つからない」を、「すぐに見つかる」へ。
セマンティック検索が、情報活用の常識を変えつつあります。

セマンティック検索とは?

セマンティック検索とは、「キーワードの一致」に頼る従来の検索とは異なり、言葉の“意味”や“文脈”を理解して情報を探し出す検索技術です。
たとえば、「悪天候によって発生した事故について教えて」と検索した際に「悪天候」と意味的に近い「豪雨」や「強風」を含む表現で関連事故報告書がヒットします。これがセマンティック検索の特徴です。

(参考1/2)弊社が提供する生成AIナレッジチャットChat EIのセマンティック検索の例
todo: 画面キャプチャ追加

(参考2/2)出典の事故報告書に「悪天候」という単語はないが、検索にヒットしている。
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検索ワードが完全に一致していなくても、言い換えや表現の違いを越えて、意図に沿った情報にたどり着けるのです。
この技術は、自然言語処理(NLP)やAIを活用しており、検索者が「どのような目的で」「何を知りたいのか」という背景を読み取ることで、まるで人に質問して答えてもらうような自然で賢い検索体験を提供します。
知識が点在している組織においても、セマンティック検索を導入することで、誰もが“探せる・使える”環境が整い、業務効率化や属人化の解消につながります。

セマンティック検索の仕組み

文書を意味単位に分割

セマンティック検索の第一歩は、文書を扱いやすいサイズに分割する「チャンキング(chunking)」です。 文書全体をそのまま処理するのではなく、段落・文・任意の長さの文節に分けることで、それぞれが独立した意味単位として扱えるようになります。
この処理により、長文の中から特定の質問に関連する部分だけを効率よく検索対象にすることができ、検索精度の向上にもつながります。

機能メニューの図

チャンクを多次元ベクトルに変換

次に行うのが、テキストを数値表現に変換する「ベクトル化」です。 これは、自然言語をコンピュータが処理できる形式に変換するプロセスで、事前学習済み言語モデルを使用して各チャンクをベクトルとして表現します。
このベクトルは、単語の意味だけでなく前後の文脈も考慮した、言語的にリッチな表現となっており、従来の手法では捉えられなかったニュアンスも反映できます。

機能メニューの図

クエリのベクトル化

検索時、ユーザーの入力する質問(クエリ)も同様にベクトル化します。 質問文が先ほどと同じ言語モデルによってベクトルに変換されることで、文書と質問が同じベクトル空間上で比較可能になります。

コサイン類似度

検索クエリと各チャンクのベクトルとの間では、「コサイン類似度」が計算されます。これは、2つのベクトルがなす角度のコサイン値をもとに類似度を測る手法です。
値が1に近づくほど、ベクトル同士の方向が一致し、すなわち意味が近いと判断されます。たとえ質問と文書で使用されている言葉が異なっていても、「意味」が近ければ高い検索スコアを得ることができる点が、キーワード検索との大きな違いです。

機能メニューの図

近似最近傍探索(ANN)

前述の類似度検索のために質問文のベクトルに対して可能性のあるすべてのベクトルを比較するのは非効率的で時間がかかります。これを解決するために、近似最近傍探索(ANN)を使用できます。
ANNアルゴリズムは、完全一致を見つける代わりに、コサイン類似度のような類似度尺度に基づいて、与えられたクエリにほぼ最も近いベクトルを効率的に探索します。
これらのアルゴリズムは、ある程度の近似を許容することで、コーパス全体にわたるコサイン類似度を計算する必要がなく、最近傍探索の計算コストを大幅に削減できます。

機能メニューの図

あいまい検索との違い

「セマンティック検索」と似た言葉に「あいまい検索」がありますが、両者は対応する課題の性質が大きく異なります。

  • あいまい検索は、主に「表記ゆれ」や「スペルミス」に対応する技術です。たとえば、「ログイン」と「ろぐいん」や、「パスワード」と「password」など、見た目の違いがある語句を同一視して検索できるようにするものです。
  • セマンティック検索は「意味の違い」や「言い換え表現」に対応します。たとえば、「育児休暇」と「子育て支援制度」、「会議室予約」と「ミーティングスペースの確保」など、異なる言葉でも同じ意図を含む検索に対応できる点が大きな違いです。

つまり、あいまい検索は「言葉の形のゆらぎ」に強く、セマンティック検索は「言葉の意味のゆらぎ」に強い──というのが本質的な違いです。
両者は対立するものではなく、むしろ補完し合う関係にあり、セマンティック検索は従来の検索技術を一段と進化させるものとして注目されています。

なぜセマンティック検索が注目されているのか

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近年、企業内外の情報量は急増しており、必要な情報にたどり着くまでの労力が増大しています。
これにより、多くの現場で「検索疲れ」とも言える現象が起きており、情報があっても使われない、という問題が生じています。
こうした状況の中で、検索精度の向上が強く求められており、その解決策として「セマンティック検索」が注目されているのです。
また、多くの企業が進めているDX(デジタルトランスフォーメーション)においても、ナレッジの活用は欠かせません。
どれだけ情報を蓄積しても、それを使いこなせなければ意味がなく、「使える情報」に変える手段としてセマンティック検索が導入され始めています。
さらに、チャットボットやFAQなどのサポート領域でも、セマンティック検索の活用が進んでいます。
キーワードベースの検索では対応が難しかった自然な質問に対しても、的確な回答を導けるようになることで、顧客満足度や業務効率の向上に大きく貢献しています。

導入による3つの大きなメリット

セマンティック検索対応の生成AIナレッジチャットを導入することで、企業活動における情報活用の在り方が大きく変わります。特に、以下の3つの観点から大きな効果が期待できます。

業務効率化

情報検索にかかる時間が削減され、「探す時間」から「使う時間」へと転換できます。必要な情報にすばやくたどり着けるため、日々の業務がスムーズになり、社員一人ひとりの生産性向上につながります。

属人化の解消

これまで特定の人しか知らなかった情報にも、誰でもアクセスできるようになります。必要な権限を持つメンバーであれば、すぐにアクセスできるようになります。新人や異動者でも、過去のノウハウやマニュアルに簡単にたどり着けるため、組織全体の知識共有が促進されます。

対応品質の向上

問い合わせ対応や顧客対応においても、セマンティック検索により必要な情報をすぐに取得できるため、スピードと正確性が向上します。これにより、顧客満足度や信頼性の向上にもつながります

おわりに:検索の見直しが、DXの第一歩

デジタル化が進むなか、私たちは日々膨大な情報と向き合っています。しかし、その情報が「あるだけ」で活用されなければ、真のDX(デジタルトランスフォーメーション)は実現しません。
“使える情報”に変えることこそが、DXの土台であり、最初の一歩なのです。
セマンティック検索は、その第一歩として非常に有効な手段です。キーワードの一致に頼らず、検索者の意図や文脈を理解することで、誰もが必要な情報にすばやくたどり着ける環境を実現します。これは業務効率の向上だけでなく、属人化の解消や顧客満足度の向上にも直結します。
「検索の精度が上がっただけ」と侮るなかれ──
それは、組織全体の情報活用力を底上げする改革の始まりです。
弊社では、セマンティック検索を用いた**RAG(Retrieval-Augmented Generation)アプリケーション「Chat EI」**を提供しています(https://www.brains-tech.co.jp/chatei/)。
社内に蓄積されたナレッジやドキュメントを活用し、意味を理解した検索・対話体験を可能にするツールです。
まずはPoCから、小さな改善を始めてみませんか?
小さな検索の進化が、大きな業務改革の扉を開く──その第一歩を、Chat EIがお手伝いいたします。

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