エンタープライズサーチの導入効果と検証方法まとめ〜利用率向上施策も紹介〜
カテゴリ:エンタープライズサーチ
エンタープライズサーチの導入を検討するにあたって、導入効果やその検証方法を知っておきたいという方もいるでしょう。企業によっては社内承認のためにこれらの説明材料は必須で求められるかもしれません。
本記事では、エンタープライズサーチの導入効果を概算で算出する方法と、導入後の検証方法をご紹介します。さらに導入後社内における利用率(利用者)を増やすための施策についても併せてお伝え致します。
- エンタープライズサーチの導入効果を算出する方法
- エンタープライズサーチ導入後の効果検証
- 導入後に社員の利用を促進させる施策アイデア
ぜひ社内での説得や導入後の啓蒙活動等にお役立て頂ければ幸いです。
- エンタープライズサーチの導入効果はどのぐらい?
- エンタープライズサーチの導入で「どのぐらい業務効率化に繋がる?コスト換算すると?」にお応えし、概算での導入効果が算出できるコストシミュレータをご用意!従業員数や1日あたりの平均検索時間など5つの項目を入力すると、エンタープライズサーチ「Neuron ES」の導入効果を概算で算出いただけます。さらに算出結果のPDFダウンロードも可能。ぜひこの機会にご活用ください!
エンタープライズサーチとは
改めて本題に入る前に、改めてエンタープライズサーチとは何かをおさらいしましょう。
エンタープライズサーチとは、企業内の様々なデジタルデータの保存場所(ファイルサーバやクラウドストレージなど)を意識することなく、横断的に一括で検索できる「企業内検索システム」のこと。
一言で説明する際には「GoogleやYahoo!の社内版」とお伝えすると、ITに関する知識の乏しい、あるいはこうしたツールに興味がない方でもイメージが掴んでもらいやすいかも知れません。
エンタープライズサーチ最大の特徴は高速な横断検索
エンタープライズサーチ最大の特徴は、検索したい資料やデータなどの保存場所を意識することなく、一括で検索ができる横断検索の機能を有しており、さらに検索結果の表示も高速なことです。
具体的に言うと、従来から利用する社内のファイルサーバはもちろん、社内DBや社内ポータルサイト、これらに加えて近年普及が進んでいるSharePoint OnlineやBox、Googleドライブなどのクラウドストレージまでもを横断的に検索できます。
これまでは各ストレージごとの検索窓を利用して欲しい資料を探していた方も、エンタープライズサーチを導入すれば、たった一つの検索窓を利用するだけで様々な保存場所を横断的かつ高速に検索することが可能となり、検索業務における大幅な効率化が期待できるのです。
さらに嬉しい全文検索機能
もう一つエンタープライズサーチの特徴としてさらに嬉しいのが、全文検索の機能です。
全文検索とは、ファイル名や最終更新者などのメタ情報はもちろん、ファイル内の端から端まで全ての情報を検索の対象とすること。
実はあまり知られていないのですが、従来から利用するファイルサーバはもちろん、各クラウドストレージにおける標準の検索機能は、全文検索に対応していない場合も珍しくないのです。
全文検索に対応していないことで、情報を漏れなく検索することができなくなり、業務によっては致命的なミスや結果に繋がってしまう恐れもあるでしょう。
こうした課題に対して、エンタープライズサーチを導入することで、各ストレージに代わって全文検索の機能を補完でき、しかも横断的に検索できるようになるため、情報収集に欠かせない存在になるかも知れません。
さて前置きが長くなってしまいましたが、本題のエンタープライズサーチの導入効果についてお話しします。
エンタープライズサーチの導入効果
エンタープライズサーチ「Neuron ES」を開発・提供する弊社でも、導入効果の予測や導入後の効果検証方法などのお問い合わせを頂くケースは少なくありません。
実際これらを厳密に算出するのは難しいのですが、概算であれば算出することは可能です。
【社内提案向け】エンタープライズサーチの効果検証方法
弊社がエンタープライズサーチの導入効果を算出する方法の一つとして参考としているのが、下記計算式です。
①検索1回あたりの平均短縮時間(分)× ②一人1日あたりの平均検索回数 × ③従業員数 × ④社内での利用率 × ⑤営業日数 × ⑥1時間あたりの労働単価 = 月間の検索時間圧縮コスト
※今回紹介する計算式や圧縮時間は、利用者のITリテラシーや利用状況、探したい情報によってもかなり差が出るため、あくまでも概算だとご認識頂ければと思います。しかし実際に弊社のお客様でもこうした概算を基に、社内説得時の説明材料として利用して頂いているケースもございます。
では各項目について、一つずつ解説します。
①検索1回あたりの平均短縮時間
例えば欲しい情報が得られるまでに、現状利用する検索ツール等でどのくらいかかるのかを検証します。そしてその結果と「Neuron ES」で同じキーワードを検索した場合に、それぞれどのくらい時間がかかったのか、その差分を短縮できた時間として算出します。
■算出例
1. 自社においてよく検索されるであろう「キーワード」を10個挙げる
※列挙したキーワードのうち検索で答えが明らかにならないものは除外する
2. 現状利用する検索ツール等から得られた検索結果上位5件と、Neuron ESで得られた検索結果上位5件における検索結果の適合具合を評価する
◯:検索意図に完全に適合した結果の場合
△:完全な適合ではないが上位に表示された場合
×:検索キーワードと関連のないものが表示された場合
3. 各キーワードの検索結果において、1位から順に情報を求めていき、◯に到達するまでの時間を算出する
◯:3秒かかるものとする
△:6秒かかるものとする(適合の判断に少し時間がかかると想定)
5位以内に◯が表示されない場合は電話やチャット等で確認するものとして、180秒かかるものとする
4. 得られた結果をもとに平均時間を算出し、従来のツールを利用した場合と、Neuron ESを利用した場合の差を求める
例えば、従来のツール等を利用した場合の検索時間が平均6分かかっていたものが、Neuron ESを導入したことによって、平均5秒で完結したとすると、6分 – 5秒 = 5分55秒 もの時間を検索1回あたりで圧縮できる計算になります。
ただし実際には上記ほど定量的に検証できない(またはその必要がない)ケースも多く、その場合は導入後社内での利用アンケートを取得するなどの方法もあるでしょう。
②一人1日あたりの利用(検索)回数
次に一人1日あたりの利用(検索)回数を調査します。
利用される方の職種やタイミングにもよりますが、一人1日平均何回程度利用するのか、自社でアンケートを取ってみるなどしても良いでしょう。
業種・業界によっても大きく差はあると思いますが、弊社お客様より頂いている相場の値としては1日あたり4回程度です。
③従業員数
次に利用する従業員の数を掛け合わせます。ここでは企業が公表する従業員数ではなく、普段の業務でパソコン等を利用し、社内の資料やデータを検索する可能性のある方の人数です。(つまり、Neuron ESを利用する可能性のある従業員数)
④利用率
次にエンタープライズサーチ導入後の社内での利用率を掛け合わせます。
導入時の社内周知やその後の啓蒙活動によって実は大きく左右します。社内での利用率を促進させるための具体的な施策については記事後半でご紹介します。
⑤営業日数
年間125日の企業であれば20日を設定します。
24時間365日対応のコールセンターなどの場合は、30日or31日となりますが、その場合シフト制となるため、先ほどの従業員数の項目を常時コールセンター内で稼働する人数に変更すると良いでしょう。(どちらの属性も存在する場合は、コールセンター以外の従業員数+コールセンターで常時稼働する人数が適切)
⑥平均労働単価
例えば、月給40万円の場合の労働単価は約2,600円/時間となります。自社における利用者の平均給与を確認してみてください。
さてこれら数字を実際に当てはめて、実際に計算してみましょう。
月20日営業する従業員数1,000人の企業で、労働単価の平均が2,600円、1回あたりの検索短縮時間は5分55秒、従業員は1日4回検索し、利用率は20%として計算してみます。
①5分55秒 × ②4回 × ③1000人 × ④20% × ⑤20営業日 × ⑥2,600円 = 4,044,430円
あくまで概算での算出ではありますが、月間約400万円分もの業務効率化(コスト削減)が期待できるという試算結果が出ました。
下記では自社での数値に置き換えて、概算でのエンタープライズサーチの導入効果を算出できるコストシミュレータを公開しています。ぜひこの機会にご活用ください。
エンタープライズサーチ導入後の効果検証
概算での導入効果が算出できたとして、実際にエンタープライズサーチを導入した後、どのような指標を定点観測していけば良いのでしょうか。
導入後までしっかりと利用の状況を効果検証しているかどうかは、企業文化にもよるため実のところ各社まちまちなのですが、しっかりとした説明を求められた際に困らないためにも定点的に数値を取っておくとベストです。
エンタープライズサーチは、管理画面より従業員の利用に関する様々なデータを見ることが可能となっています。
効果検証における各指標としては、下記が参考になります。
・月間利用ユーザー数
・月間利用率(利用ユーザー数/最大の利用想定人数)
・月間検索回数
・一日あたりの平均検索回数(月間検索回数/月間利用ユーザー数)
・月間クリック数
・月間クリック率(月間クリック数/月間検索回数)
これらデータを月毎に出していき、先ほど算出した導入効果が得られているか定点観測すると良いでしょう。また導入規模によっては、支社や部署ごとに算出し、よく利用されている拠点とそうではないところの違いなどを分析してみるのも良いでしょう。
また企業によっては「検索回数(多く利用されている)」よりも「クリック率(欲しい情報が確実に手に入っているかどうか)」の方を重要視されているケースもあります。自社におけるエンタープライズサーチ導入の目的に合わせて、定点観測すべき指標も検討してみると良いでしょう。
特に最も重要なのは、社内での啓蒙活動です。エンタープライズサーチの利用率を向上させることで、より導入効果を高めることができるのです。
では具体的にどのような施策によって、それらを向上させることができるのでしょうか。次の章でいくつか施策をご紹介します。
エンタープライズサーチ導入後に利用率を向上させる具体的施策5選
エンタープライズサーチを導入してみたいが、実際に利用してくれるか不安。あるいは導入はしているか利用率をどう上げて良いか分からず困っている方もいるでしょう。
ここではエンタープライズサーチの利用率を向上させるための具体的な施策アイデアを5つお伝えします。
1. 社内ポータルサイトへのリンク設置
2. 絞り込み検索の方法などを参照できるようにする
3. リモートワークに役立つツールとして紹介する
4. 定期的な社内向けメールに案内を入れる
5. 新入社員のオリエンテーション時に紹介する
6. 開発・提供企業が実施する勉強会を自社で開催する
1.社内ポータルサイトへのリンク設置
社内規定や各種マニュアル類、社内報や全社スケジュールなど会社内の様々な情報を網羅的にまとめられた社内ポータルサイトを導入している企業もあるでしょう。企業によっては、インターネットブラウザを立ち上げると、この社内ポータルがホーム画面に設定されていることも。
多くの従業員の目に触れる機会が多い場所だけに、社内情報の検索をサポートするツールとしてエンタープライズサーチをこの社内ポータルで紹介したり、あるいはすぐさま検索できるようエンタープライズサーチ画面へのリンクを設置するなどで利用率が向上したという事例もあります。
2.絞り込み検索の方法などを参照できるようにする
上記社内ポータルなどへ掲載する際に、エンタープライズサーチの便利な使い方についても併せて掲載しておくと良いでしょう。
具体的には、エンタープライズサーチにおける絞り込み検索で、完全一致検索・アンド検索・OR検索・マイナス検索など。これら便利な絞り込み検索の活用方法を掲載することで、エンタープライズサーチを使いこなす社員も出てくるでしょう。
3.リモートワークに役立つツールとして紹介する
昨今の社会情勢からリモートワークが急速に進んでいます。場所を選ばず仕事が可能となる、通勤そのものが不要になる一方で、ちょっとしたこと質問を周囲の人に質問し聞きづらいなどのデメリットも挙げられます。
これまで気軽に「あの資料どこにあったっけ?」と聞いていた方でも、エンタープライズサーチで検索すれば簡単に自己解決でき、情報収集にかける時間の短縮に貢献するでしょう。
そうした利用シーンなどと併せて、リモートワークに役立つツールとして社内に向けて案内することで、利用率の向上に繋がります。
4.定期的な社内向けメールに案内を入れる
社内サーバのメンテナンスのお知らせなど、定期的に全社に向けて社内メールを送信している方もいるでしょう。特に情報システム部門の方は意外にも多いのではないでしょうか。
このような社内メールの文末などに、必ずエンタープライズサーチの紹介と便利な活用方法を載せるなどして少しずつ社員へ認知させるという方法も啓蒙活動という意味では重要です。
5.新入社員のオリエンテーション時に紹介する
利用率向上に特に大きな影響を与えられるのが、新入社員のオリエンテーション時にエンタープライズサーチを紹介するという方法です。
入社間もない段階での案内はまずそもそも効果的である上、社内規定やマニュアル、各種資料の探し方すら分からない新入社員にとってエンタープライズサーチは、仕事を早く理解するための非常に大きな武器となるはずです。
反対に新入社員を教育する側にとっても、最初に使い方を教えるだけでその後は自分で調べて自己解決してくれるシーンも増えるため、教える時間が削減できるといったメリットも。
もちろん新入社員ではなくとも、部署異動などの際のオリエンに加えても良いですし、全社的な会議で利用者に向けて改めて案内するのも非常に効果的です。
いずれにしてもこうした啓蒙活動を行うことで、社内におけるエンタープライズサーチの利用率が高まっていきます。さらに言うと、自分たちの活動のアピールとしても実は有効的に使えるのです。
6.提供企業が実施する勉強会を自社に導入(開催)する
エンタープライズサーチを提供する企業によっては、導入後に社員への案内をスムーズに行うため、あるいは利用率をさらに向上させるために、製品の概要や利用方法などをお伝えする勉強会を実施しているケースがあります。
こうした勉強会に参加したり、自社での導入(開催)を行うことによって、社員のエンタープライズサーチへの理解がより深まるだけでなく、当日参加しなかった社員に対してもツールの存在を認知させられることに繋がるでしょう。
まとめ
さて今回はエンタープライズサーチの導入効果算出方法と導入後の効果検証、さらに社内での利用率を上げていくための施策アイデアをお伝えしました。
導入効果の算出方法としては、検索時間の短縮によるコスト削減に注目しましたが、その他にも、ナレッジマネジメントへの貢献や検索のログデータを活用したファイルサーバの整理、データマイニングなどの活用方法も存在します。
エンタープライズサーチの導入を検討されている方はぜひ一度、弊社までお問い合わせ頂けますと幸いです。詳しい製品のご紹介はもちろん、最新の導入事例や活用方法なども併せてご案内させて頂きます。
- エンタープライズサーチの導入効果はどのぐらい?
- エンタープライズサーチの導入で「どのぐらい業務効率化に繋がる?コスト換算すると?」にお応えし、概算での導入効果が算出できるコストシミュレータをご用意!従業員数や1日あたりの平均検索時間など5つの項目を入力すると、エンタープライズサーチ「Neuron ES」の導入効果を概算で算出いただけます。さらに算出結果のPDFダウンロードも可能。ぜひこの機会にご活用ください!
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